問題は以下のリンクなどから参照してください。
https://www.toshin.com/kyotsutest/2022/kagaku_question_1.html
聞かれていることは、典型的な問題と同じ内容です。ただ、入試という場所では情報がグラフで与えられていたり、問題文が長かったりするだけで威圧感を感じるので、この問題を試験場で出くわしたら緊張する人も多いのではないでしょうか。しかも問5bに至っては、標準状態の気体の体積を聞いているにも関わらず、わざわざ気体定数の値まで与えられていて、余計な計算を増やした人も少なからずいそうです。素早く必要な情報を抽出した上で、最小限の計算量に抑えられるかどうか、試すのにいい問題ではないでしょうか。
解説
あまり教科書とかでは強調されないですが、あまり水に溶けない気体では以下の2つが成り立ちます。
・気体の溶解量は、溶媒の体積に比例する。
・気体の溶解量は、その気体の分圧に比例する(ヘンリーの法則)。
・問5a
こっちはさっくりいけるといいですね。変化量を聞かれているので、溶解量の差をとればいいですね。水1.0 Lあたりの変化量はグラフから\(1.4×10^{-3}-1.75×10^{-3}\) molとわかるので、いま水20 Lに溶解させるのだから、これを20倍すると\(-7.0×10^{-3}\) molですね。つまり\(7.0×10^{-3}\) molの減少です。答えは②
・問5b
気体の分圧 = 全圧 × モル分率
温度は変わらないので\(1.0×10^5\)PaあたりのN2の溶解量はピストン引き上げ前後で変わらず\(0.7×10^{-3}\) molですね。まず、ヘンリーの法則より溶解量は分圧に比例するので、ピストン引き上げ前後のN2の分圧を求めると、引き上げ前が\(5.0×10^5×\frac{4}{5} =4.0×10^5 \)Paで、引き上げ後が\(1.0×10^5×\frac{4}{5} =0.8×10^5 \)Paですね。
したがって、引き上げ前のN2の溶解量は\(0.7×10^{-3}\) molの4倍、引き上げ前のN2の溶解量は\(0.7×10^{-3}\) molの0.8倍ですね。気体として遊離するN2は、溶解量の変化量の逆になるので、水1.0LあたりでのN2の遊離量は\[0.7×10^{-3}×(4-0.8)=2.24×10^{-3} mol\]と求められ、いま水は1.0Lなので、これがこの問題でのN2の遊離量ですね。
さて、答えは\(0℃, 1.013×10^5 Pa\)での体積を求めるのですが、これは標準状態そのものですので、気体定数を使わずに単に22.4 L/molをかけるのが一番早いでしょう。\[22.4×10^{-3} mol×22.4L/mol×10^3≒50 mL\]
よって答えは③です。もちろん、状態方程式を使って求めることもできます。