1月3日「小問演習Quiz」更新!

[入試化学良問・気体の法則 Lv.★★★]共通テスト2022 第1問 問3

問題は、以下のサイトなどから参照して下さい。

https://www.toshin.com/kyotsutest/2022/kagaku_question_1.html

苦手な人が多い、グラフの問題ですね。最近の共通テストの傾向からすると、「あ!〇〇ゼミでやったところだ!」となるような問題は数を減らそうとしているように見えます。とはいえ、だから問題集の問題をやるのに意味がないということではなくて、問題集の答えをパターンで暗記しようとするから意味がないんですね。基礎ができているとは、例えばこういう問題で「理想気体のグラフのは数式から求められる」と実感できていて、初めて基礎ができているといえます。そういう意味で、この問題は良問ですね。

目次

解説

混合気体の密度\(d\)は、体積\(V\)と、AとBの質量\(w_{a}, w_{b}\)を用いることによって、\[d=\frac{w_{a}+w_{b}}{V}\]と表すことができますね。

\(w_{a}, w_{b}\)は、AとBの分子量\(M_{a}, M_{b}\)と、AとBの物質量\(n_{a}, n_{b}\)を用いて、\[w_{a}=M_{a}n_{a}, w_{b}=M_{b}n_{b}\]とかけますので、「じゃあ気体の物質量\(n\)は状態方程式から出せばいいんだ」となるわけです。

状態方程式\(PV=nRT\)を用いることによって、それぞれ\[n_{a}=\frac{p_{a}V}{RT}, n_{b}=\frac{p_{b}V}{RT}\]となりますね。\(p_{a}, p_{b}\)はそれぞれAとBの分圧ですが、全圧\(p_{0}\)に対して\(p_{b}=p_{0}-p_{a}\)の関係は当然成り立ちます。

発想のコツ

密度を求めるために「質量」を知る必要があるのですが、一方で状態方程式では気体の量として「物質量(mol)」が用いられています。その両者を結びつけるのが、「分子量(モル質量)」だと気が付くことができます。

あとは、\(n_{a}, n_{b}\)をそれぞれ\(w_{a}, w_{b}\)に代入して、その\(w_{a}, w_{b}\)を\(d\)に代入すればよさそうですね。その計算を実行して、\[d=\frac{1}{RT}(M_{a}p_{a}+M_{b}p_{b})\]であり、これに\(p_{b}=p_{0}-p_{a}\)を代入して\[d=\frac{1}{RT}((M_{a}-M_{b})p_{a}+M_{b}p_{0})\]となるので、\(d\)が\(p_{a}\)の関数だとみれば、グラフは、傾き\(\frac{M_{a}-M_{b}}{RT}\)、y切片\(\frac{M_{b}p_{0}}{RT}\)の直線になるとわかりますね。

ここで、\(M_{a}<M_{b}\)より(問題文に書いてあります)、グラフの傾きは負であることがわかるわけです。

したがって、④が答えですね。

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この記事を書いた人

化学の教員はじめました(高校) 化学の面白さをどう伝えるか日々悩み、また私自身も化学の多面的な面白さにまだまだ気づけていないと思い、勉強し続けています。

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