問題は、以下のサイトなどから参照して下さい。
https://www.toshin.com/kyotsutest/2022/kagaku_question_1.html
苦手な人が多い、グラフの問題ですね。最近の共通テストの傾向からすると、「あ!〇〇ゼミでやったところだ!」となるような問題は数を減らそうとしているように見えます。とはいえ、だから問題集の問題をやるのに意味がないということではなくて、問題集の答えをパターンで暗記しようとするから意味がないんですね。基礎ができているとは、例えばこういう問題で「理想気体のグラフのは数式から求められる」と実感できていて、初めて基礎ができているといえます。そういう意味で、この問題は良問ですね。
解説
混合気体の密度\(d\)は、体積\(V\)と、AとBの質量\(w_{a}, w_{b}\)を用いることによって、\[d=\frac{w_{a}+w_{b}}{V}\]と表すことができますね。
\(w_{a}, w_{b}\)は、AとBの分子量\(M_{a}, M_{b}\)と、AとBの物質量\(n_{a}, n_{b}\)を用いて、\[w_{a}=M_{a}n_{a}, w_{b}=M_{b}n_{b}\]とかけますので、「じゃあ気体の物質量\(n\)は状態方程式から出せばいいんだ」となるわけです。
状態方程式\(PV=nRT\)を用いることによって、それぞれ\[n_{a}=\frac{p_{a}V}{RT}, n_{b}=\frac{p_{b}V}{RT}\]となりますね。\(p_{a}, p_{b}\)はそれぞれAとBの分圧ですが、全圧\(p_{0}\)に対して\(p_{b}=p_{0}-p_{a}\)の関係は当然成り立ちます。
密度を求めるために「質量」を知る必要があるのですが、一方で状態方程式では気体の量として「物質量(mol)」が用いられています。その両者を結びつけるのが、「分子量(モル質量)」だと気が付くことができます。
あとは、\(n_{a}, n_{b}\)をそれぞれ\(w_{a}, w_{b}\)に代入して、その\(w_{a}, w_{b}\)を\(d\)に代入すればよさそうですね。その計算を実行して、\[d=\frac{1}{RT}(M_{a}p_{a}+M_{b}p_{b})\]であり、これに\(p_{b}=p_{0}-p_{a}\)を代入して\[d=\frac{1}{RT}((M_{a}-M_{b})p_{a}+M_{b}p_{0})\]となるので、\(d\)が\(p_{a}\)の関数だとみれば、グラフは、傾き\(\frac{M_{a}-M_{b}}{RT}\)、y切片\(\frac{M_{b}p_{0}}{RT}\)の直線になるとわかりますね。
ここで、\(M_{a}<M_{b}\)より(問題文に書いてあります)、グラフの傾きは負であることがわかるわけです。
したがって、④が答えですね。